代表・渡部純一の記事

「うちもAI、入れてます」は、
材料の一つです。

人を増やさずに、事務をなくしたい会社へ。

この記事は、AIの解説ではありません。1億人が使うメッセージアプリを、たった50人で回している会社の代表が、日本のテレビで競合を一刀両断した話です。先に結論を言ってしまうと、看板が同じでも、中身は別物という話です。そしてこれは、AIでいま、そっくり同じことが起きています。

他社の話が続きます。興味がなければ、ここで閉じていただいて結構です。

2026.08.14|株式会社サマーウインド 渡部純一

「たとえ話で説明しましょう」
と、彼女は言いました。

50人で、1億人を守っている会社

Signal(シグナル)というメッセージアプリがあります。各国の政府や軍、記者が使っていることで有名なアプリです。

この会社、フルタイムの働き手が約50人しかいません。50人で、最大1億人の利用者を支えています。

その代表のメレディス・ウィテカー氏が、日本のテレビ番組に出ていました。TBSとBloombergの対談番組です。

そこで聞き手が、こう質問しました。WhatsAppもテレグラムもLINEも「暗号化しています」と言っている。Signalと何が違うのか、と。

彼女の答えが、見事でした。

「暗号化は、ケーキの材料の一つ」

「たとえ話で説明しましょう」と前置きして、彼女はこう言いました。

他社にとって、暗号化はケーキを焼くための、たくさんある材料の一つにすぎない。うちにとっては、それが全部です。うちは100%暗号化でできたケーキです、と。

実は、こういうことです。

「暗号化してます」は、どの会社も嘘は言っていません。メッセージの中身は、たしかに暗号化されている。ただし彼女に言わせれば、守られているのはそこまでです。誰と誰が、いつ、どのくらいの頻度でやり取りしたか。そういう周辺のデータは、ビジネスのために集められている。

「してます」という看板は同じ。カバーしている範囲が、まるで違う。

だから利用者は、看板だけでは見分けられません。

同じ光景を、日本の会社で見ています

なぜこの話をしたかというと、この1年、まったく同じ構造を日本で見ているからです。

交流会でも、商談でも、いまはどの社長もこう言います。

「うちもAI、入れてますよ」

そこで少しだけ中身を聞くと、だいたいこうです。ChatGPTのアカウントを作った。社員の何人かが、文章の要約に使っている。以上。

嘘ではありません。入れてはいます。ただそれは、彼女の言い方を借りれば、材料の一つです。ケーキは、まだ焼けていません。

材料の一つ
アカウントを作った
たまに要約に使う
ケーキ
毎日の作業が
1つ、消えている

見分ける質問は、一つだけです

「入れてます」と「使えてます」を見分ける質問は、一つで足ります。

「それで、どの作業が消えましたか」

即答できれば、ケーキです。答えに詰まったら、材料の一つです。

私の会社は、社員がいません。それでも回っているのは、消えた作業を数えられるからです。自社のホームページを作り直したときは、外注の見積もりが100万円・納期3ヶ月のところ、半日で終わりました。いま、うちの文章はほとんどAIが書いています。私がやっているのは、最後に確かめることだけです。

自慢ではありません。順番が逆だと言いたいのです。ツールを入れたから作業が消えたのではなく、消したい作業を先に決めて、そこにAIを当てた。それだけの違いです。

材料を、ケーキにする側の仕事です

私の仕事は、AIの解説ではありません。御社でいま人がやっている作業を1つ預かって、実際に動く形にしてお返しすることです。

御社の見積書、御社の返信文、御社のベテランの段取り。材料は、もう御社の中にあります。足りないのは、それをケーキにする順番のほうです。社長がChatGPTを触る話ではありません。

御社のサイトを拝見して、いま消せる作業を5つ書き出します。1つ目は、今日お送りします。メール1通です。(AIは、営業日を知りません)

費用はかかりません。ご用意いただくものもありません。読んで違うと思われたら、そのままで結構です。私が1人で全部やるので、月5社までとさせていただいています。

御社の消せる作業を、書き出してもらう

それでは、ご連絡をおまちしております。

追伸

Signalが50人で回っている理由を、彼女はこう説明していました。データを持たないから、守る仕事が軽い。持たなければ、差し出すリスクもない、と。会社も同じです。作業を持たなければ、人を増やさなくていい。人手不足の答えは、採用だけではありません。

追伸2

「うちもAI入れてます」と言う同業は、これから毎月増えます。看板は全員同じになります。そのとき効くのは、看板ではなく「どの作業が消えたか」を数字で言えることです。ケーキを先に焼いた会社と、材料を並べただけの会社。差がつくのは、看板が出そろった後です。

追伸3

お見せするのは48時間だけです。導入事例を集めたいという、こちらの事情によるものです。お続けになる場合は、そのままお渡しします。私が居なくなっても、御社で動き続けます。

書いた人

渡部純一(株式会社サマーウインド 代表取締役)。ネットで売って20年、累計売上80億円。著書3冊、うち2冊が続けてAmazon総合1位。現在は社員ゼロ・AIだけで自社を経営しながら、中小企業向けのAI顧問「AI経営参謀」を月5社まで。

参考: TBS CROSS DIG with Bloomberg「Signal代表 メレディス・ウィテカー 1on1」(2025年10月公開)。本文中のSignal社(従業員数を含む)および他社アプリに関する記述は、同インタビューでのウィテカー氏の発言に基づくものです。